復讐の女神
夕方近くになって片山課長が戻ってきた。

ゆりが心配そうな表情で彼を振り返ると
「なんとか手配出来た。今日の夜中に到着するらしい」と
片山課長はゆりに報告した。

「本当ですか!?」

「あぁ。その代わり現場は夜通し作業だけどな。
石井もそれに付き合うらしい」

「そうなんですね・・・。本当にすみません」

「いや、そんな気にするな。
ところで経緯報告書の方はどうだ?」

「それが、纏めてはみたのですが
こんなんで良いのか分からなくて・・・」

「とりあえず見せてみろ」

そう言ってゆりの席に近づくと
屈んでパソコンの中を覗き込んだ。

「ああ、大丈夫そうだな。終えたら俺にメールしてくれ。
最終チェックを俺の方でするから」

「ありがとうございます。」

ゆりは、頼り甲斐のある片山課長の言葉に
安心して心から感謝をした。

「ありがとうございます。本当に助かりました。
あとは少し残って仕上げますので片山課長は帰ってください」

「いや、七瀬さんを一人残すことは出来ないよ」

「どうしてですか?」

片山課長は隣の席に腰掛けると
片肘を机についてその手に頭を乗せゆりの方を見た。

「七瀬さんのことほっとけないから」

片山課長に見つめられゆりは動揺をし始めた。
眠っていた甘い痺れが蘇ったように全身に広がった。
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