復讐の女神
片山課長が来る間、ゆりは家の中で片手に睡眠薬の入った小瓶を持ちながら
考えていた。

「今日はまだ早いかな。彼の信頼を得てからでも遅くはないよね」

そう言うとゆりは、台所の所定の場所にそれを置いた。

ゆりは計画を変えていた。

情が移ることを心配していたが、
逆に情が移ったと見せかけて片山課長の心を手に入れ、彼を意のままに操ろうと考えた。

「けど・・・今夜、私は・・・あの人に抱かれるのか」

計画のためとは言え、予想外の展開に
ゆりの気は重くなった。

けれど、すぐに頭を振ると何かを払拭するように
ゆりは決心を固めた。

「あいつの心を手に入れてやるのよ。
そして、必ず殺してやる。
復讐のためだったら、こんなの訳ないのよ」

すると呼び鈴が鳴り、モニターで片山課長を確認すると
解錠をした。

間もなくして、片山課長がゆりの家に入ってきた。

「ごめん、遅くなった」

「ううん、大丈夫よ。夕飯にする?それともお風呂入る?」

ゆりが尋ねると、片山課長は質問に応えずゆりを抱き締めた。

するとそのまま貪るようにゆりの唇を食むようにキスした。

「弘樹さん・・・ちょっ、待っ・・・」

「待てない・・・’」

そう言うと片山課長をゆりをベッドの上に押し倒した。
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