復讐の女神
「いよいよ、来週は社員旅行だな」

そう言われ、ゆりは顔を上げた。

片山課長はゆりの顔を見下ろすと
「昼は厳しいが夜は会える時間を作る。
俺の場合は、一部屋設けられてるから
誰にもバレずに俺の部屋に来ればいい。」と
ゆりを喜ばせるように言った。

「でも、森村さんと過ごすんじゃないの?」

「彼女は夜、女性陣らでSPAや温泉に入るらしい。
一応、俺も一人で仕事したいから夜は部屋に来ないで欲しいとも伝えてある」

「本当に!?」

その言葉でゆりの表情は一気に明るくなった。

「あぁ、本当だ。夜は二人っきりで過ごそう」

そう言われるとゆりは嬉しくなって思いっきり
片山課長にぎゅっと抱きついた。

「楽しみにしてる・・・」

「あぁ、俺もだ」

そう言うと彼はゆりの頬を持ち、自分の方に顔を上げさせた。
そして軽くキスをするとそのまま舌を絡め、甘くとろけるようなキスをした。

唇を離すとゆりは笑顔になった。

その頬を紅潮させた無邪気なゆりの笑顔に
一瞬片山課長は驚いたが、すぐふっと笑うとゆりを愛おしく思い、
彼女にまたキスをするのだった。

「ゆり・・・愛してる・・・」
「弘樹さん・・・」

すると、片山課長はそのままゆりを抱き寄せ、
ベッドの上に彼女を寝かせた。

ゆりは、驚いて彼の二の腕を掴むと「仕事は!?」と聞いた。

片山課長はゆりの首筋にキスをすると「まだ平気」と言って
そのまま、ゆりの身体を味わうように甘美な朝を過ごしたのだった。

***

片山課長がスーツを着終え、身支度が整うとゆりは、彼と一緒に部屋を出てエレベーターに乗り、
自動ドアのある場所まで彼に付いて行った。

「じゃぁ、今度は会うときは社員旅行でな」
そう言うと片山課長はゆりの頭にキスをした。
ゆりは不意を突かれて少し戸惑ったけどすぐさま嬉しい表情になった。

「行ってらっしゃい」ゆりは彼を笑顔で見送った。

その後、ゆりはすぐさま部屋に戻るとナイフと睡眠薬を
旅行カバンの中に入れたのだった。



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