復讐の女神
しばらくすると二人も露天風呂の方に入ってきた。

二人はゆりのことを気にすることなく
「わぁ、星が綺麗!」と言うと星空を見ながら
お湯に浸かった。

すると越川はゆりにも聞こえる声で
森村に話しかけた。

「この綺麗な星空を片山課長と一緒に眺めなくて良いんですか?」

「え?どうゆうこと?」

森村は一旦上を眺めるのを止めると越川の方を見た。

「露天貸切風呂あるじゃないですか。お二人で入らなくて良いんですか?」

「あぁあ、あれね」

森村は切なそうに笑うと「誘ったけどダメだったんですよ」と応えた。

「えーなんでですか?」

「会社の人に見られると恥ずかしいからですって。」

「え~そうなんですね~。片山課長って照れ屋なんですね~」

越川は嬉しそうに言うと森村はそうみたいと返答した。

けど、その会話を聞いてゆりは内心ホッとしていた。
片山課長は自分に気を遣ったのだと思うと、
たとえ偽りの恋愛関係だったとしてもゆりは内心嬉しく思うのだった。




そのため、ゆりが温泉から上がろうとしたとき、
森村が「なので、今度二人で旅行した時にでも貸切風呂に入ろうって
言ってくれたんですよー」と
嬉しそうに言っていたのにも関わらず耳に入って来なかったのだった。
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