復讐の女神
ゆりは、ゆっくりと顔を上げ、片山課長の方を見た。

「え?」

「森村さんと一緒にいたこと。あんま良い気はしなかっただろう」

そう言って、ゆりの手を弄びながら
何度もゆりの手を握るが、ゆりは握り返さなかった。

「別に。分かってたことだから気にしてない」

「無理するな。嫉妬が態度に出てる」

「えぇ!?」

そう言われて、ゆりはすぐさま顔を背けた。
ゆりは、戸惑って目をキョロキョロさせると
片山課長はゆりの腰を持って自分の方に引き寄せ
ゆりの耳元で「すまなかった・・・」と呟いた。

その言葉にゾクッとしてゆりは全身が甘い刺激で満たされ鳥肌が立った。

片山課長の手がゆりの胸に触れようとした瞬間、
ゆりはそれを制した。

ゆりが怖い顔して片山課長を見てきたので思わず
「なんだよ」と彼が聞くと
「ワ、ワインでも飲まない?」とゆりは応えた。

「ワイン?」

「冷蔵庫の中にあったでしょ?まだ、夜は長いんだし、
もっとゆっくりふたりの時間を楽しもう?」

そう言うとゆりは胸を押さえながら立ち上がり、
冷蔵庫からワインを取り出した。

赤ワインを彼の方に見せると「グラスに入れてくるから
ちょっと待ってて」と言った。

すぐさま、ゆりはグラスにワインを注ぐと
その一つに忍ばせておいた睡眠薬を入れた。

ゆりがグラスを持ちながら彼のもとに戻ると
そのグラスを片山課長の方に渡した。
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