復讐の女神
ゆりは彼の愛を知って静かに涙を流した。

ごめんなさい、弘樹さん。
あなたが知ってる私は全て偽りで作られたものなの・・・。

ゆりは彼の温かい胸に抱かれながら
このまま時が来なければ良いのにと思った。

すると、片山課長が生あくびをすると
「んー仕事の疲れがきてんのかなぁ。眠ぃ・・・」と言って
目をこすり始めた。

ゆりは、顔を上げると彼の方を見ていよいよ始まるのかと思い、
心がずきんと傷んだ。

「ゆりは、もうちょっとここで飲んでていいから。
俺はちょっと仮眠する、ごめんな」

そう言ってゆりにキスをするとベッドの上で横になった。

ゆりが恐る恐る近づくと彼の寝息が聞こえ始めたので
ゆりは、ゆっくりと隠していたナイフを取り出した。

ゆりは、ナイフを持つとゆっくりと両手を掲げ、構えた。

ゆりは、目を瞑ると一つ深呼吸をした。

涼くん、やっとよ・・・。
遂にこの時が来たの・・・。
やっと涼くんの恨みが晴らせる時が来たのよ。

ゆりは意を決すると目を開いた。
目の前には眠りについた片山課長が横たわっている。

ゆりは、片山課長を見下ろすと
低い声で話しかけた。

「ごめんね、弘樹さん。あなた自身には恨みはないけど
これもあなたの父親に復讐するため。あなたには死んでもらうわ」

そう言うとゆりは思いっきりナイフを振り降ろした。

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