武士(もののふ)は黙して座する
次の瞬間。

時貞は背中に背負っていた身の丈以上の刃渡りを持つ刀剣を抜き放った。

攻城刀(こうじょうとう)。

文字通り城攻めの際に城門ごと敵の武者を斬り伏せる為に造らせた、時貞の為の愛刀。

これほどの超重兵器を軽々と扱えるのは、剣豪数多しと言えども、この周防時貞しかいない。

錫杖を構えて突進してくる僧侶を誘い込むような形で、時貞はその攻城刀を抜刀と同時に振り下ろす!

そして。

「な…」

僧侶は、自らの視界が縦にずれて見える事に驚愕した。

時貞の神速の振り下ろしによって、頭頂部から股下まで、真っ二つに両断されたのだ。

「…ば…化け物…」

血飛沫を上げながら、僧侶はその無惨な亡骸を地面に投げ出した。








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