武士(もののふ)は黙して座する
「……」

尚も男は口を開かない。

「参ったね、どーも…」

僧侶はツルリと禿げ上がった坊主頭を掻いた。

「お前さんも何かの未練があってここに陣取っているんだろう…そんなお前さんの気持ちも汲んで、穏便に済ませたかったんだが…そう強情張られちゃ仕方ねぇ、俺も金もらって仕事を引き受けてるんでな」

僧侶の目が、カッと見開かれた!

「成仏してくれや!」

一足飛びに。

僧侶は錫杖を構えて男に迫った!

彼の持つ錫杖は特別製。

例え相手が霊体だろうと打撃を加える事ができる。

その証拠に。

「っ!」

鈍い音を立てて、錫杖が石段に座したままの男の脳天に打ち据えられた。

「ほぅ…避けねぇか」

僧侶がニヤリと笑う。

「……」

対する男は、何者をも射殺すような眼光を僧侶に向けた。

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