武士(もののふ)は黙して座する
時貞は刀剣の柄に手をかけたまま、まだ抜刀しようとしない。

「どうした!そのでかい刀は只のお飾りか!?」

独鈷を投擲しつつ、時貞の周囲を回りながら攻撃を加える僧侶。

時貞は身を固めつつ、攻撃を受け続けるしかない。

霊体とはいえ、僧侶の攻撃を受けた時貞は血を流し、傷を負っていた。

このままでは僧侶の言う通り、魂魄を四散されて消滅する。

本当の意味で、時貞は死する事になる。

「そろそろ頃合いか」

遠間から独鈷で嬲り、体力を奪い取った僧侶は、一気に時貞に仕掛ける。

錫杖の先端を槍のように構え、仁王立ちのままの時貞に突進!

「二度と迷い出ぬようにとどめを刺してくれる!」

勝ち誇ったように笑みを浮かべる僧侶。

だが。

「!!」

その瞬間、時貞の眼がギラリと光った。

「坊主…貴様の相手はもう飽きた…!」

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