OUTⅡ
肩につくかつかないかくらいの、重いボブの髪を揺らして、呼吸を整えて教室に入って来たのは、クラスメートの安達子桃(アダチコモモ)だった。
ほんのりとピンクに色付いた頬を見る限り、急いで来たんだろう。
子桃は一瞬だけイヴとレオを見たあと、すぐに自分の席に向かった。
「安達!!なんか忘れ物したのかー?」
レオが子桃に笑顔を向け、手をブンブンと振った。
子桃は名前を呼ばれると、すぐに反応してくれ、辞書を自分の前に差し出し、ほんのりと笑った。
「あぁ!辞書を忘れたんだ!!安達なんか地味にドジだよなー」
レオは嬉しそうに子桃と話している。
イヴはわざとらしい溜め息を吐くと、目の前にある電子辞書をいじった。