愚痴聞き屋〜太郎のお仕事〜
夜の肌寒い東京を、僕と野口君の男二人で歩く。
「なぁタロさん。俺、仕事辞めたいよ………。雑用ばっかりなんて、もう懲り懲りだ。」
いつも明るい野口くんが初めて僕に弱音を吐いた。
僕は、野口くんを励まそうと走った。
走って走って、野口くんが何も考えられなくなるくらい走った。
だって、走ると頭がスッキリするでしょ?
それって僕だけなのかなぁ?
「タロさん……ハァハァ、速いよ。」
野口くんが言った。
ほら、みんな。僕の言った通りだよ。
野口くん、すっごく笑ってる。