寄っていきませんか。

別に特に興味の無いチャンネルを回しながら、飲んでいた2リットルの水が無くなった事に気付いた。


『は?』

今度こそ寝起きでは無い普通の声で、というより、結構大きい声が出た。

確かに2リットルの水は新しく開けたモノでは無かった。けど、3分の2程は残ってたハズなのに、どれだけのどが渇いてたんだと自分で呆れた。



『けどまだ、渇いてる』

掠れた声は寝起きだったのだろうけど、のどの渇きは収まってなかった。
あれだけ飲んだハズなのに、なんでだろう?と疑問に思って、思ってたよりも大きい声が出たんだろう。

仕方なくめんどくさい体を起き上がらせて、冷蔵庫に向かった。

窓の外でセミがうるさいほど鳴いてて、なおさら暑さを思い出した。


『無い』

冷蔵庫を開けた。けど水が、無い。
いつもなら何本か水やジュースがストックされているハズ。
誰かに飲まれたかと思ったけど、よくよく思い出すと夜中に自分で飲んでいた記憶がうっすらとある。


『はぁ、まじかよ』

重いため息をついて、机に置いてある財布をとって玄関へと向かう。

いつもなら、この大変暑い中例えのどが渇いたと言えども、外に出るなどという暴挙はしないだろう。

いつもなら、だ。


けど、私は何時もとは違うのをのどの異常と言えるほどの渇き具合で、この時既に察していたのかもしれない。


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