寄っていきませんか。

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-----「いらっしゃいませ」ピロリン

店員さんの愛想笑いとコンビニ特有のドアの音共に入店、そして即行飲料水売り場へ。


向かう途中でカゴを片手に、水、水、水、ポカリスエット、カルピス、水、お茶、お茶、水、水、水など適当に突っ込んでレジで会計する。


直ぐ様店を出て、2リットルのお茶をぐびぐびと頂く。正直2リットル×10本で手首が折れそうに痛いけど、致し方ない。


どこも夏休み期間中なので浮かれてるリア充カップルや、コンビニの前で座ってるヤンキーなどにもガン見されながら、その場で2リットルを飲み干してしまった。



ほんとはもう1本ぐらい飲み干せそうだったけど、流石に体に悪そうだし。

丁度目の前にゴミ箱があるので、ちゃんとフタを分別して捨てさせてもらう。


「ねぇ、碓井さん。」

そんな声が聞こえた気がした。


「碓井朱里(うすい あかり)さん」

今度ははっきり聞こえた上に、肩に手を乗っけられた。声といい、肩に乗ってる手といい、男の人だというのは直ぐにわかった。


『なんですか』

振り向き、相手に目を向けて驚いた。

「おはよう。碓井さん」

にこやかに人当たりのよい笑みを浮かべてるこの男。

『いや、誰?』

誰?まったく顔に覚えの無い初対面の人だった。よく見ると、夏休みなのに制服を着ててそれは私が通ってる高校と同じ制服だった。

女子は灰色のプリーツがいっぱい入ったスカートで、男子は灰色のズボン。
ネクタイとリボンは白のストライプが入っていて青と赤自由に選べる。私は赤ネクタイを好んで使っていて、それはこの男もだった。


「やっぱり、僕の事知らないよね」

その男を観察してると少し寂しそうな悲しそうな顔で言うので罪悪感がわいた。

『もしかして、同じクラスですか?』

同じクラスの人なら大問題だ。私は正直クラスの人達に馴染めていない方なので、クラスメートの名前に自信がない。

「いや、2年6組だよ」

2年6組。私は2年1組。
2年生は7クラスあって、2年1組から4組までが同じ3階。
2年5組から7組までが、ひとつ上がった4階となっている。


『え、じゃあ階違うんじゃ...』

階が違うということはかなり大きい差がある。
私は移動教室以外は教室を出たりしないから、隣のクラスとさえ関わることは少ないのに階が違うクラスと関係したことなんて皆無だろう。











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