黄昏の千日紅
スターチス





私の好きな彼は、ハニーブラウンの髪色をしており、ふわふわと、簡単に何処かへ飛んで行ってしまいそうな雰囲気がある。



周りの人は「蜂蜜みたいだからあだ名はハチにしよう」と言って、彼を「ハチ」と呼ぶことにした。



私もそれにつられて、いつしかハチと呼ぶようになった。





彼は今までに呼ばれたことがなかった為か、初めは戸惑いを見せていたが、慣れてきた頃にはすっかりその名前が定着したのか、反応の薄かった彼もすぐに気付いてくれるようになった。




私も周りも、毎日のように彼に癒される。

笑顔で彼を眺める幸せな日々。





私がハチの名前を呼ぶと、彼は心底嬉しそうな顔をして、わざわざ私の元へ駆け寄って来てくれる。





周囲は私が彼の名前を呼ぶ時が、ハチは一番嬉しそうにするだなんて言っていた。






< 1 / 284 >

この作品をシェア

pagetop