黄昏の千日紅
キキョウ





真夏の日射しが私を容赦なく照らし、肌がじりじりと熱を帯びていく。




森の木々から聞こえてくる、あの頃は煩わしいと感じていた蝉の鳴き声は、今では何となく心地が良い。





その声は、自分の短い寿命の価値とちっぽけな存在を主張しているのだろう。




その音が、この暑さをまた一層際立たせているようにも感じる。





何処にでもある、田舎の小さな公園。





木々に囲まれ、ベンチが離れた場所に二つと、滑り台、ブランコが一つずつ。
そして公園のど真ん中にある広めの砂場。





私と彼は、木陰にあるベンチに腰を下ろし、目の前の砂場で無邪気に遊ぶ子供の姿を見ながら微笑んでいた。




炎天下の中、偶にどこからか吹いてくる生温い風が私の髪を揺らし、頬をそっと撫でる。










< 127 / 284 >

この作品をシェア

pagetop