黄昏の千日紅
「ここ、懐かしいね」
「ああ、中学ぶりか」
私が隣に腰掛ける彼にそう零すと、彼は昔を思い返すように言葉を返した。
幼馴染だった私達は、幼少期によく二人でこの公園に遊びに来ていた。
最後に二人で来たのは、中学だったか。
まだ彼がそんな昔のことを覚えていたとは。
彼の顔をちらりと横目で見ると、当時よりも随分と垢抜けて、男らしく成長している。
女よりも男の方が垢抜けるのは遅いと聞くが、本当のようだ。
「ねぇ、今幸せ?」
私が突然こんなことを聞いたからか、子供に視線を向けていた顔を勢い良くこちらに向ける。
「…んだよ急に。そりゃあ、まぁ、幸せだよ」
彼はほんのり顔を赤く染め、照れたようにそう言うと、再び顔を子供の方へと戻す。
幸せか。
良かった。
「…お前は」
「…ん?」
「今幸せか?」