黄昏の千日紅
都内から電車に乗り込み、帰ってきたのは一昨日。
東京から故郷に近付くにつれ、高層ビルから山々の緑へと色を変えていく景色と共に、私の心が安らぎに満ちていった。
車窓から見る懐かしい景色が、仕事で疲れ切っていた私の心を癒していくように、途轍もない安心感を与えた。
都会と比べると、殆ど無人に等しい小さな駅に降り立てば、新鮮で澄んだ空気が私の体全身を優しく包み込み、穏やかに出迎えてくれた。
現代では随分と減ってしまったアナログな切符で改札を通り抜けると、特別変化のない街並みが視界に入り、思わず喉の奥が熱くなった。