黄昏の千日紅
くだらない。
心の内でそう吐き捨て、私は窓の外を見ながら鞄から取り出したイヤフォンを両耳に付けた。
指で曲を適当に選択し、両耳から少し大きめの音でメロディが流れ込む。
くだらない私。
くだらないこの世の中。
昔から、無表情で何を考えているのかさっぱり分からないと、周りに言われてきた。
感情が読み取れず、冷酷であると。
それは自分でも分かっているつもりだ。
いや、わざとそうしてきたのかもしれない。
ポーカーフェースでいることに慣れ、いつしか笑えなくなった。
ただそれだけなのに。
周りは私をまるで人形のようだと言った。私に、” 冷たい人形 ”というレッテルを貼った。
しかし、歯牙にもかけなかった。
周りからの評価など、心底どうでも良かった。
自分は自分と思い、誰も入り込めない殻に閉じこもって生きてきた。
それが私の駄目な部分なのだと、自分が一番良く分かっている。
そうして私は、自分で自分の人間としての何かを欠如させていっていると。