黄昏の千日紅
この学校は、成績上位者のみで形成されたSクラスの特別クラス、Aクラスはその次に成績優秀者が入れる、所謂、特進クラスであり、Bクラスからはただ単に文系と理系に分かれているだけだ。
彼は難易度の高い編入試験に難なく合格してしまったようで、それだけでも十分注目される人物であるが、彼は余裕で特進クラスに入った。
おまけに漫画で良くあるような展開の、容姿端麗。
すれ違いざまに盗み見た彼の顔は、恐ろしい程に整っており、柔らかそうな琥珀色の髪をしていた。
そこそこ名の知れた名門校のこの学校は、かなり競争率も激しく、SとAクラスレベルになると偏差値が凄まじく高い。
然しながら、校則はそんなに厳しい訳ではなく、髪の毛が明るい生徒や制服を着崩す生徒も、ちらほらいる。
特に、入学時にSクラスに首席で入った金髪の藍川さんは高嶺の花として有名人だが、最近編入したAの人気は、それに勝る相当なものだ。
まるでアイドルを見ている取り巻き達が、見る度に黄色い声援を上げている。
それに応えるように笑顔を振り撒く彼は、きっと周りの人間から慕われているのであろう。
しかし何となく、その笑顔が作り物のように思えて、私は勝手ながら自分と似ている人間なのかもしれないと密かに思っていた。