黄昏の千日紅
放課後、私は委員会を終えてから今日も無人であろう図書室へと足早に向かう。
扉を開け中に入ると、本特有の酸化した独特な匂いが鼻に入り、私はゆっくりと深呼吸した。
このしんみりとした静寂の空間が、私は本当に大好きなのだと再確認する。
入口のすぐ側にあるカウンターの席が私の定位置で、いつもそこでお気に入りの本や、気になった本を読み漁る。
私はお気に入りの本の中でも、” 残炎の候 ” というミステリー小説が好きで、何度も繰り返しその本を読んでいた。
今日は委員会があった為に、本をじっくりと読む時間が減ってしまった。
何を読もうかと考えつつ、図書室の奥に向かって歩き出す。
すると、一番端の窓側の席に腰を掛ける、思わぬ人物が視界に入り、私は驚いて思わず声を上げてしまいそうになった。