黄昏の千日紅
私は、明日も、明後日も、一ヶ月後も、一年後も。
これからもずっとずっと、あなたの事を憶えているよ。
永遠に、忘れないよ。
「…お母さん。私を産んでくれて、ありがとう」
「…何よ、急に」
そう言って照れたようにふわっと、華のように微笑む母に、私も微笑み返す。
この世に産まれて来れて、良かった。
この地に生を受けられて、良かった。
大袈裟かもしれないけれど、ハチに出会えたことは、私にとって、かけがえのない大切な出来事だ。
私はこの命を大事に生きる。
ハチの分まで精一杯生きる。
私の心の中に居る、あなたと、ずっと。
窓から溢れる陽は、次第に紅く染まり始め、私の脳内にハチとの散歩の風景が蘇る。
外を眺めていると、夕焼けに染まった西の雲が、そっと、私に微笑みかけているような気がした。