黄昏の千日紅





私は、明日も、明後日も、一ヶ月後も、一年後も。


これからもずっとずっと、あなたの事を憶えているよ。

永遠に、忘れないよ。





「…お母さん。私を産んでくれて、ありがとう」



「…何よ、急に」




そう言って照れたようにふわっと、華のように微笑む母に、私も微笑み返す。








この世に産まれて来れて、良かった。


この地に生を受けられて、良かった。



大袈裟かもしれないけれど、ハチに出会えたことは、私にとって、かけがえのない大切な出来事だ。





私はこの命を大事に生きる。


ハチの分まで精一杯生きる。


私の心の中に居る、あなたと、ずっと。









窓から溢れる陽は、次第に紅く染まり始め、私の脳内にハチとの散歩の風景が蘇る。




外を眺めていると、夕焼けに染まった西の雲が、そっと、私に微笑みかけているような気がした。







< 20 / 284 >

この作品をシェア

pagetop