黄昏の千日紅
翌日、俺は午後になるまで、ずっと気を張っていた。
彼女に会えるかもしれないという嬉しさと緊張で、珍しく授業にも集中出来ず、ずっとそわそわしていた。
自分で自分らしくないと心の内で突っ込みながらも、俺は浮足立っていた。
ホームルームが終わるのと同時に、周りの人間に別れを告げ、颯爽と教室を飛び出す。
「永今日カラオケ行かねー?」と廊下で声を掛けてくる奴等に、「わりぃ、今日用あるわ」と言って足早にその場を去る。
こんな時は図書室までの道程が、やけに長く感じられる。
俺は出来るだけ早足で向かい、声を掛けてくる奴等を適当にあしらった。
彼女が毎日通っているとは限らない、しかし可能性はゼロではない。