黄昏の千日紅
「それで?」
「えっ?」
「なぁに考えてたわけ。ま、大体想像つきますけど」
飛鳥は私の方を一瞥すると、先に頼んでいたのか生クリームたっぷりの、苺とブルーベリーのクレープを、ワゴンの店員さんから笑顔で受け取る。
「……ルーズリーフのこと。いつまで続くのかな、って」
彼女は「いただきまーす」と言ってクレープにかぶりつき、咀嚼しながら宙を仰いだ。
「んー、そうだねえ。…犯人突き止めるまでは続きそうだけど」
私がその言葉に溜息を吐くと、ワゴンから「お待たせしましたー」という陽気な声が聞こえてくる。
飛鳥が私の代わりにそれを手にすると、近くにあるベンチに移動した。
「ほい、お待たせしましたー」
「よっこら」と、とても女子高校生とは思えない言葉を発してベンチに腰を掛けてから、彼女は笑みを浮かべ、私にクレープを渡す。
私が怪訝な顔をして彼女を見ると、唇を尖らせながら膨れた。
「なぁにその顔。店員さんの真似しただけですよー」
「はいはい」