黄昏の千日紅
それを掴み、自分の胸の辺りまで取り出し、四つ折りに畳んだあるそれを開いてみる。
何が書いてあるなんて、もう分かりきっていることなのに、何故かいつも開いてしまうルーズリーフ。
” 君は永遠に僕の ”
朝の一人の教室だからか、一年もの長い間、毎日のように見てきて慣れている筈のその文字でさえ、途轍もなく恐ろしいものに感じられ、思わず手から離してしまう。
それを拾い上げようと手を伸ばした時、何処からともなく、微かに音が聞こえてきた。
「……ピアノ?」
それは間違いなくピアノの音色。
こんな朝早くに、一体誰が弾いているというのか。
吹奏楽部?
” それか? ”
” この世のものではない ”
突然飛鳥の声が頭を過ぎり、身震いした。
「いやいや、まさか…ね」