黄昏の千日紅
さも当たり前のことのように言う、彼女の少し棘のある口調。
「前に、遅刻魔なんて名前付けられてたみたいだけど、あたし低血圧なんかじゃないし。むしろ超早起き」
「じゃあ何で、中学の時…」
「それより分かったの?犯人」
飛鳥は私の言葉を勢い良く遮り、足を組みながらこちらを強く見据えた。
「分からないけど…」
「じゃあ教えてあげる」
「…え?」
「あたしだよ。犯人」
とんとん拍子で進む彼女の一方的な言葉に、思わず言葉を失う。
「………」
「入学当初から凛の机に紙入れてた犯人は、このあたし」
待って、何で。
いや、そんな筈は。
「ちょっと、待ってよ。書いてあるのは僕のって…男の人の言葉じゃん」
自分の口から出た声色が意外にも冷静で自分で自分に驚く。
心の内の靄が潡々、渦を巻き、私の身体を侵食していくようだ。
それよりも益々、黒い墨が私の心をどす黒く塗りたくるように、穢れていく感覚がする。