黄昏の千日紅
そして一番、放課後で好きなことと言えば、ミルクティー色に綺麗に染められた髪をふわふわと揺らしながら帰って行く、先輩の姿を眺めることだ。
外は沢山の生徒達の声で賑やかなのに、校舎内は嘘のように静まり返っていて、私は机に両肘をついて顔を支えながら外を眺める。
机がひんやりと冷たく、心地良い。
風でカーテンがゆらゆらと揺れ、私の長い前髪にそっと優しく触れた。
多分そろそろ先輩がここを通るだろうな、と思いながら一人胸を弾ませて、人の流れをじっと眺める。
__あ、来た。
私が密かに想いを寄せている先輩は、二つ上の高校三年生。
学校一、格好良くて頭も良い。
そして運動神経までも優れている彼は、この学校のある意味有名人で、私が高校に入学してからというものの、彼の噂は瞬く間に広まり、一瞬にして新入生から支持を得た。
新入生の私達だけでなく、先輩の二年生もそれは同じようで、彼の人気は凄まじいものであった。
芸能人顔負けのその容姿で、他校にファンクラブがあるくらいだと、噂で耳にした。
彼目当てで、この学校に入学した生徒もいるようだ。