黄昏の千日紅





飛鳥はそれを聞いて「…そっか」とだけ言った。




「だから信じられないような不思議なことだけど、私、飛鳥の話を信じる。…信じたい」




すると、飛鳥はこちらを勢いよく振り向き、驚いた表情をする。





「これって、来世で私達に幸せになれって、神様が言ってくれてるのかもしれないね。…またこうやって二人出会えたことって」





それを聞いた彼女が目に涙を浮かべ、綺麗な形の唇を開く。





「うん、こんな偶然……いや、この奇跡、大事にしないとだよね…」





私達の話し声だけが、静寂な学校の中の音楽室に響き、それが空気にすうっ、と呑み込まれるように消えていく。









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