黄昏の千日紅





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「高倉。ほらよ」




黒いスーツの男が缶珈琲を投げ、もう一人の男がそれを見事に空中で捕らえる。



「富長刑事!あざっす!」




「やっと捕まったな」




「いやぁ、ほんと。凄まじい執念すよね。整形と性転換までして」




「あぁ。まさか十年も掛かるとはな」





二人の男は、室内に流れるテレビの音を聞きながら、体内に珈琲を流し込んだ。













『………今日未明、〇〇県△市に住む日向凛さんが監禁されていたことが判明しました。尚、警察は10年前の同様の事件で、略取誘拐罪の容疑にあった日野宮飛鳥被告32歳を逮捕しました。警視庁は…』













『日向凛さんは診察の結果、過去に何らかの形で全生活史健忘になったと考えられており、警察はその原因についての調査を進めています。また日野宮被告は過去に性転換をし、年齢詐称をしていたとして、検察側は…』

















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