黄昏の千日紅
突然、目の前の視界が、箱庭から薄汚れたベージュ色に変わる。
そして私の周囲が、ほんのり暗くなった。
犯人は分かっているけれど。
「何すんのよ高倉」
カーテンで私の視界を遮った張本人を私が一瞥すると、彼はこちらを小馬鹿にしたような表情で見下ろしていた。
腹立つな。
「まぁた愛しの先輩か」
「うっさいわ」
図星を突かれた私は、すぐに高倉から視線を外し、机に突っ伏した。
拗ねたわけではない。決してない。
高倉とやらは、中学からの犬猿の仲。
しかし周囲の人間からは、何故か夫婦のようだと言われている。恐ろしい。此奴と夫婦と考えただけで恐ろしい。