黄昏の千日紅
バラ
私の隣の席の「レオ」と呼ばれる男は、この学校の有名人だ。
彼を知らない人間など、この学校には存在しないであろうという程、彼は人気者であり知名度は高い。
そして今日も、そんな彼の周りには人集りが出来ていて、最早、輪の中心にいる主の姿が見えない状況にある。
喋り方にせよ、立ち振る舞いにせよ、彼は見た目も中身も軽薄そうに見える。
誰とでも隔りなく笑顔で会話をし、男女共々から評価の高い彼は、男子からはモテて羨ましいと慕われ、女子からは世に言うイケメンだと持て囃される。
私が休憩時間にお手洗いへと席を立ち、教室へ戻って来れば、いつもこの有様だ。
私の席に彼の友人であるらしい隣のクラスの沢井くんが、我が物顔で堂々と座り、輪の中の会話を盛り上げている。
蠅の如くその場に集っている生徒達の所為で、一向に席までも辿り着けず、私は毎日迷惑極まりない彼等に盛大な溜息を吐く。
これも日課となりつつある。