黄昏の千日紅
「あ、坂下さん!ごめんね!ほらどけよ、沢井」
そう言って沢井くんを私の席から退けさせ、輪の中心から私に笑いかける例の人物。
やめてくれ、そんな目立つことをしないでくれ。輝きを放ってこっちを見ないでくれ。
周りの蠅達が一斉に目をギラギラさせてこちらを見てる、いや、睨んでいるではないか。
私は愛想笑いを浮かべ、さっと席に座り
、次の授業の準備をする。
沢井くんが私の肩を叩き、ちらりと顔を向ければ「いっつもごめんね」と妖艶な笑みを浮かべて謝った。
私は、” 思ってないだろう ”と澄ました心とは裏腹に、「平気だよ」と言って、彼同様へらっと笑って見せ、すぐに目を逸らした。
何か苦手なんだよなぁ、沢井くん。
全てを見透かしてるような瞳をしている、というか、見つめ合っていたら、心の内を透視されていまいそうというか。
なんか、怖い。