黄昏の千日紅





彼を気になり始めたのは、本当に最近のことだ。



高校三年になって、初めて同じクラスになった彼と偶然にも同じ名前、というところが気になるきっかけだった。





私もレオ。彼もレオ。






私と同じで珍しい名前の彼がどんな人であるのか、他人にあまり興味を示さない私は、高校三年に上がるまで彼の存在を知らなかった。




彼が、こんなにも学校の有名人であるということも。




特別、運命を感じたとかそんなドラマチックなことを考えた訳ではなく、ただ名前から勝手な親近感を持ち、それ以来どんな人か彼を目で追うようになっていただけ。





それだけだった筈なのに、” 人を好きになる ”という心情がいつ訪れるものなのか、私は全くもって知らなかった。






本当に、気付けばいつの間にか好きになっていた、という感じで。






朝起きれば彼のことが頭に浮かび、同じ教室であることに喜びを感じ、彼の姿を見れるだけで幸せを感じ、眠りにつく頃に夢で会いたいと願い。






席が隣になった時は一人、心の中で嬉し過ぎて発狂してしまった。





本当にそんな自分が気持ち悪くて、悪寒が走ったのだけれど。






< 260 / 284 >

この作品をシェア

pagetop