黄昏の千日紅
存在を既に忘れかけていた、隣に佇む憐れな高倉の様子を、頬杖をつきながら、横目でちらりと伺う。
彼は意外にも、無言で彼女をじっと目で追っているだけであった。
此奴は私のような人間を馬鹿にする癖に、自分のことは棚に上げて。
いや、上げてはないのだけど。
心の内で一人でノリツッコミをする、悲しい私。
高倉ってば、澄ました顔しちゃって。
頬が少し赤くなってるよ、なんて心の優しい私は言わずに見過ごしてやろうではないか。
「きっと夕陽のせいだね。出てないけど」
「は?なに?」
「別に」