黄昏の千日紅
「高倉ぁ、ファミレス行こー」
「はあ?昨日も行ったじゃねえかよ」
「いいじゃん別に」
「お前俺の金目当てか!」
「はあ?何の話?」
「おいとぼけんじゃねーよ」
「男がケチケチすんな。ケチ」
「結局ケチかよ」
わはは、と私の笑い声が静かな教室内に響き渡る。
私は席を立つと、机の横にかけていた鞄を肩にかけ、高倉の腕を引っ張り教室を後にした。
片想いの時が、一番楽しい時期なのだと誰かが言っていたのを耳にしたことがある。
しかし、それはきっと、報われる可能性が何パーセントかある人限定の話なわけで。
片想いが楽しいなんて思えず、ただ辛くて苦しいものだと感じてしまうのは、可能性のパーセンテージが0であるから。
ゼロはプラスにも、マイナスにもなってはくれない。
だから今日も眺めるだけ、明日も、きっと明後日も。
これからも。
私の、彼の、誰かの、一方通行の想いは今日もひっそりと、胸の奥で。