黄昏の千日紅
もしかしたら彼女は、声が出ないのではないかと。
ただ、その時は何となくだった。
何となく彼女のことが気になって。
彼女が職員室を出て行ってから、その先生に近寄り、伺ってみた。
しかし、先生は僕に彼女について詳しいことを告げず、
「あの子は、東棟の階段の踊り場に飾ってある絵を描いている生徒だよ」
と言った。
僕はその日の放課後、階段の踊り場に飾ってある彼女の絵を見に行った。
その絵を見てからだった。
彼女のことが気になり始めたのは。