黄昏の千日紅





休み時間、僕は階段の踊り場に行き、雪宮澪の描いた絵を見ることが日課になっていた。



金色の額縁に収められた絵の数々は、どの踊り場に飾られている作品も、言葉では到底表せない程の、素晴らしいものである。



ろくに絵なんて描けない素人の僕にでさえ凄いと感じる、繊細で美しい色合いとその感性。




その絵を見ると、特級クラスの生徒が天才と言われていることに、何の疑問も感じなくなる。




篠田樹の方は分からないが、雪宮澪にはきっと、絵の才能があるのではないかと。




毎日、絵を見る度に、彼女が描いている所を近くで見てみたい、と思う気持ちが増していく。




その絵を眺めていた時、三人の女子生徒が階段を降りてきた。






「まじあの態度ないよね」

「ほんと。返事くらいしろっての」

「絵が少し上手いからって調子乗ってるんでしょ」





ドクンと僕の心臓が鼓動を速くする。


何故だか分からないが、僕に直接悪口を言われているような、悲しい気持ちになった。


彼女達は確か、C組の文系クラスの子達だ。





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