黄昏の千日紅
僕は彼女が描く絵に、その才能に、いつからか惚れ込んでしまっていたのであろう。
そして雪宮澪という彼女自身を、大事に想うようになったのは、一体いつからだったのだろうか。
気が付けば、彼女の可愛らしい表情、彼女の壮大であり繊細な絵画がいつでもどこでも脳裏に浮かぶようになっていた。
ただ永遠に、この二人だけの時間が続けば良いと思った。
彼女の笑顔と絵画を見つめながら、このまま時が止まってしまえば、僕はこの上ない幸福を得られるだろうと。
先生が言ったように、彼女が他人から誤解されるのは無理はない。
ただ、過去の経験から人との関わりを拒んでしまっているのは、ただ臆病になってしまっているだけなのだ。
彼女は冷たくなんてない。
彼女の描く絵を見れば、その絵からそのことが存分に読み取れることを、周りの人間がいつか分かってくれることを、心の中で強く願った。
彼女にあまねく、理解者が増えますように、と。