黄昏の千日紅





この時間の客数は、本当に微々たるもので、大抵は小太り店長と私の二人で店を回しているが、店長は常に冬眠気味の熊で、バックルームに篭ったまま出てこない。


決して悪口ではない。



こんなか弱い乙女を一人で、しかもこんな夜中に一人で営業させるなど、本当に良い度胸していると思う。




何か問題が起きたら、一体どうするつもりなのか。




いや、実際、目の前に毎週来るこの男こそが大問題であるというのに。



以前、目の前の得体の知れない不審者について店長に話せば、「いやぁ、潤ちゃんたら、モテるねぇ」と適当な言葉で片付けられてしまった。






つくづく、良い度胸している。







< 69 / 284 >

この作品をシェア

pagetop