黄昏の千日紅





物体Xは、大体いつも三十分程粘ってから、渋々といったようにコーヒー片手に「またねぇ」と言いつつ、煌びやかな笑顔を残して帰る。




私としては「またね」ではなくて、是非とも「さよなら」したいものだ。




そして男はベンツだか、フェラーリだか、車の銘柄には全く詳しくない私には分かりかねる、黒塗りの高級感漂う車に乗り、去って行く。




私は、猛烈な嵐が去っていったかのような疲労感を感じながら、胸を撫で下ろす。



月曜の深夜は、週で一番億劫であり、憂鬱な日である。







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