黄昏の千日紅
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ギラギラと眩い光を放つネオン、高い建物が立ち並ぶ周囲を彷徨い歩いている人々。
夜が深くなっても決して暗くなることのない、眠らない街。
路地裏へ入り近道をすれば、湿気っぽい薄汚い空気が全身を包み込む。
この空気には何年居ても、到底慣れそうにない。
下品な甲高い女の騒ぐ声。
足元の覚束ない若者の集団。
肌寒い季節になったというのに、露出の多い服を着た奇抜な髪型の女。
最初の頃は、毎回反吐が出そうになっていた、なんて昔を思い返しながら煙草をふかす。
その人混みを上手く躱しながら” shine ”と書かれた大きな看板を横切り、階段を降りていく。
店内も外の騒音と同じ程、酷い賑わいを見せていて、浴びるように酒を飲む男達を流し目で見ながら、バックルームへと足を踏み入れた。