黄昏の千日紅





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「いらっしゃいま……せ…」




「スマイル百個ください」




「申し訳ありませんが、現在大変混み合っておりますので」




「えー、そうは見えないけどなぁ」




私は心の中で強めに舌打ちをする。



物体Xの言うように、確かに店内は彼を含めなければノーゲストだ。



本当に、アルバイトの私がこの店の売上を心配してしまう程に、暇で暇で仕方がない。



しかし、昼間はなんとか繁盛していると、熊店長が言っていた。




今日も目の前の男は、完璧な容姿とその美しい佇まいで、目の前のレジカウンターに両肘を付き、掌で自分の小顔を支えている。




少し上目遣いで子犬のようにこちらを見上げてくる瞳は、垂れ目で、片目のすぐ下に黒子がある。



なんだその目はその顔は。
策士なのか?わざとなのか?



こんな顔で見つめられたなら、普通の女は一瞬でころりと落ちてしまうのであろう。




私にとっては目障りでしかない。
ということは、私は普通ではないということ。



自分で考えておいて、少しばかり落ち込む自分がいる。








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