黄昏の千日紅
暗闇には、電気などの優れた機械は何もない。
小窓から漏れる陽の光と、まれに浮かび上がる月明かりで本を読む。
本には沢山の種類があった。
文字が大量に連なっているもの、数字や記号が彼方此方に散らばっていて、変な形のものが書いてあるもの。
そして、少し変わった言語が記されているものや絵の描いてあるもの等、様々なものがあった。
何もすることが無かったので、食い入るようにそれらを見ていた少女であったが、意味が解らないものもあった。
少女は、” 自分 ”という存在が一体何であるのか、何故こんな暗闇の中に居るのかさえ、分からなかった。
然しながら、そんな事は時間が経つにつれ一切考えなくなった。
幾ら考えても、答えが全く見出せない為に、無駄だと思ったからであった。
そして、いつしかこの生活自体が当たり前のことなのだと判断したのだった。