雨の怪物
「意外・・・なのかな・・・でも、不倫してたって言うし、琴美先輩の場合は、もしかして・・・。」
そこまで口にして、
「亜美!」
夢が大声を上げる。
何のことだと思ったが、亜美さんを見ながら、俺にチラホラと目配せしている時点で大方理解できた。
「あ!ごめん・・・。」
亜美さんも理解したのか、俺に対して頭を下げる。
「別に、俺と先輩が付き合っていたのなんて、もう1年も前の話しだし、気にしてないよ。」
言うしかなかった。
本当は、そんなことないし、時々夢に見ることだってあるのだが、こんな状況でそんなコトいえるわけがないのだ。
まったく・・・変な気を使わせるなよな。
何気に、この状況に対して、俺だって傷ついていないわけじゃないのだから・・・。
「所で、悠人はこの事件のことをどう思っているんだ?」
まったく話をそらすのも、わざとらしすぎるし、逆に言えば、パトカーやアナウンス、オマケにテレビ局までこの市に来ている状況では、それ以外の話題もすぐには見つからない。
「何で、俺に聞くんだよ?」
当然のように質問された。