雨の怪物


「何もなかった?」


 しかし、自分の怒りとは別に、夢が口を挟む。


「別に珍しいことじゃないさ・・・。言っただろう?人探しの魔術は占いの応用だって・・・。」


 だから、当たらないこともある。


 例えば、相性100%カップルが必ず別れないかと言うと、そんなコトはないし、金運絶好調と呼ばれた人が財布を落とすコトだってある。


 悠人の魔法はその程度の能力しかない。


 本来の魔法は、そこまで便利ではない。


 だから、悠人が人探しの魔法が外れるコトだってあるのだ。


「だったら、せめて警察に連絡とか・・・。」


 とは言え、厳しいだろうな・・・と由紀は何となく考えていた。


 例えば、警察に『占いの結果で先輩がここにいます』・・・と報告したところで、動く警察官がいるだろうか・・・。


 幸か不幸か、科学が世界を制したこの世界。


 魔法なんて誰も現実にあるなんて信じはしないだろう。


< 16 / 43 >

この作品をシェア

pagetop