雨の怪物


「・・・夢?」


 突然手をつながれた。


「・・・由紀、先輩のことまだ好きなのか?」


 突然、聞かれた。


 いきなり、何を言っているんだ?


「さあな・・・1年の前のことだし・・・それより、お前は何で突然手なんて・・・。」


 そこまで口にした途端、今度は身体を摺り寄せてきた。


 え?


 ええ?


 一体、どういうつもりで・・・。


 お前が好きな相手は俺じゃないだろう?


「後ろ・・・変な男がこっちを付いてきている。」


 小声で言われた。


 ・・・・・え?


「マジで?」


 言われて、後ろを振り返ろうとするが・・・。


「顔を向けるな!」


 ・・・あ、あぁ・・・


「ごめん。」


 そうだな。万が一、目でもあったら大変だ。


 それにしても、どうして夢を?


 ・・・って


「理由なんてないのか?」


 不意にそんな言葉が口から出た。


< 19 / 43 >

この作品をシェア

pagetop