雨の怪物


「付き合ったやつは少ないけどな。」


 少ないのか・・・?


「それでも、いるのかよ?」


「・・・まぁ、どれも本気じゃなかったけどな。」


 だったら、付き合うなよ。


 まったく、その男共に同情するぞ。


「だったら、付き合うなよな。」


 そんな言葉も出る。


 自分は先輩と付き合うまでは、女性と付き合った経験なんてありはしなかった。


 それだというのに・・・


 まったく・・・お前も、小学校の頃から比べるとだいぶ変わったものだな。


「だって、そうじゃなければプライドが持たないだろう?」


 それは、とてもとても小さな小声。


 だけど、お互いに肩が寄り添うほどに近づいて歩いているからこそ、聞こえてしまった言葉。


「プライド?」


「何でもネェヨ・・・まったく、あんな嘘も見破られないとか、お前馬鹿だろう?」


 今度は、確実に言われた。


 嘘?


 何が、どれが??


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