雨の怪物
「何の話だよ?」
「お前には、わかんネェヨ・・・。」
お前の言葉が断片的過ぎるんだよ。
頼むから、俺にもわかるように説明してくれ。
「まぁ、いいけどな・・・。」
いつから、こいつの言葉をこんなに理解できなくなったのだろうか・・・。
昔は、もっと言いたいことを言い合っていた気がする。
何を言わなくても、こいつが何を考えているのか分かったし、一つの言葉で十は理解できた。
いったい・・・あぁ・・・そうか、去年だ。
去年、俺と先輩が付き合いだした頃から、こいつの考えていることが分からなくなって・・・。
「なぁ、由紀・・・お前、先輩のこと本気で好きだったのか?」
また聞かれた。
今日二度目になる質問。
なんで、そんなコトをしつこく聞くのだろうか?
・・・いや、それだけ本気で答えて欲しいというコトなのだろう。
まったく・・・お前は、その質問を向ける相手を間違っているぞ。
「好きだった・・・よ。」
とりあえず、コレだけは間違いない。
だからこそ、今、いなくなってしまった彼女の行方がきになる。
そして、疾走事件で終わって欲しいとも、切に願っている。
だって・・・『それ』が見つかったら、それは疾走事件ではなく・・・