雨の怪物
「そっか・・・。まだ、ダメなのか・・・。」
??
何が?
「お前、さっきから、何を言っているんだ?」
「何でもネェヨ・・・。とりあえず、どこまでついてくる気だ?」
言われて、ここがどこだか理解した。
目の前にあるのは、赤い屋根をした、二階建ての一軒屋。
表札には『向日葵』と書かれている。
「あれ?いつの間に、お前の家?」
本気で気がつかなかった。
「大丈夫か?お前・・・なんなら、私が送っていこうか?」
冗談。
「男につけられているんじゃなかったのかよ?俺なら一人で平気だ。」
一人の女性と、一人の男性。
狙われる確立が低いのは圧倒的に後者。
俺を送った後、夢が一人で帰るリスクを考えたら、どう考えても俺が一人で帰ったほうが、安全性は高い。
だいたい、こいつは目下、ストーカー被害の真っ最中だし・・・。
「あぁ、あれは、嘘だ。」
「え?」
なに?
じゃあ、どうしてお前は・・・。
「それじゃあ、気をつけて帰れよ。家に着いたら連絡しろよ。しないと、警察呼ぶからな。」
それだけを捨て台詞に、夢は家の中に入っていってしまった。
「・・・・・ホント、何を考えているんだ?あいつは・・・」
思ったが、考えて出る答えではなかった。