雨の怪物
「あのな・・・コレでも、俺は優等生で通っているんだ。皆勤賞を狙っているわけじゃないが、少し考えてくれよ。」
人気のない図書室。
由紀が悠人を連れてきたのは、そこだった。
「まぁ、いいだろう。話を聞かせろ。」
答えたのは、由紀ではない。
なぜか、隣にいる夢だ。
「っていうか、なぜ、お前までいる?」
思わず声に出た。
「若い頃と言うものは、何にでも興味を抱くものだ。細かいことは気にするな。」
いや、気にするだろう?
どう見ても・・・。
まぁいいけどさ・・・。
「で、話って?」
とりあえず、夢との問答は、悠人の言葉によってさえぎられる。
だから、ここからが本番。
由紀はひとつ、大きく息を吸うと。
「実は、昨日、琴美先輩とあった。」
「なっ!」
「うそ!」
二人が驚いた表情を浮かべたのはほぼ同じ。
だが、そこから先の言葉は全然違った。