雨の怪物
「お前たちは、占いを『当たるも八卦、当たらぬも八卦』・・・ぐらいに考えているだろう?」
悠人の質問。
「そりゃ・・・まぁ、占いってそういうものだろう?未来が見通せたら、誰も困りはしない。」
夢の言葉。
確かに、雑誌の後ろや朝のテレビでやっている占いのコーナーは、非常にいい加減だと自分でも思う。
だって、乙女座が絶好調で、しし座が最悪の運勢と言ったら、8月22日生まれの人は最悪で、8月23日生まれの人間は絶好調。さらには、9月の22日の人までが絶好調になってしまう。
それに、全国の12分の1が全員、『意中の人とめぐり合える』なんて、そんなコトがあるはずがない。
「その発想から、間違っているんだよな・・・占いは『未来を見通すもの』じゃなくて、『未来を予測する』高度な数学的学問だ。」
「どういうことだ?」
さっぱり意味が分からなかった。
「例えばだ。癌に侵されたにもかかわらず、病院嫌いのため、一切の治療を受けない人と、同じ癌に侵されながらも、早期に病院へ赴き、早々治療を受けた人。どちらが、癌が治る確率が高いと思う?」
そんなの・・・。
「そりゃ、病院へ行った方だろう?」
当然の判断だった。
こんな、当たり前の質問に何の意味があるというのか?
「それが、未来予測なんだよ・・・。」
「は?」
そんな当たり前の行動が・・・。